乙羽信子さんの名演技。 |
着眼点が変われば、世界は変わる。なんだかそういうことも、作者は言いたげな気がする。世の中は、そうしたものだ。
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日本映画チャンネルで新藤兼人監督の『絞殺』(79年)を観る。すさまじい世界だ。夏目漱石の作品をもとにつくった『こころ』(73年)もおもしろかったが、この作品はさらに強烈だ。エディプスコンプレックスを描き、家庭内暴力を描いたこの作品は、今思うと早すぎた作品だとも思える。のちに監督の奥さんとなる乙羽信子さんが、どの作品でもクールで淡々としているのが不気味でただひたすらに気持ち悪い。だが、そこが最高だと思う。
乙羽さんはこの作品で、ヴェネツィア国際映画祭最優秀主演女優賞を受賞する。納得の一作だ。