今度は私が。 |
そんな私でもひいきにしている地上波の番組がある。それはTBSの『あなたが聴きたい歌の3時間半SP』。この方も書いていらっしゃるが、今回が一番よかった。〈かもめはかもめ〉〈さらばシベリア鉄道〉〈手紙〉…。好きな歌手や好きな歌などがたくさんピックアップされて、個人的にもうれしかったな。〈思秋期〉や〈みずいろの手紙〉など、阿久悠さんと三木たかしさんの作品が多く、ご本人が歌ってくださる…。ちょっと幸せな気分だった。
大分ではすっかりおなじみの(笑)樋口了一さんも登場していた。〈手紙〜親愛なる子供たちへ〜〉を歌う前に、彼のインタビューも聴けた。彼は5歳と2歳のお子さんがいらっしゃるせいか、この曲の子どもの気持ちも親の気持ちもわかるのだと言う。
この歌詞は現実を畳みかけるところが、魅力だと感じる。多くの歌詞は〈気持ち〉を率直に語るものが多いけれど、現実を語るほうがはるかにこころを打つものだ。たとえばちあきなおみさんの〈喝采〉。あの曲も起こったことだけがひたすら書いているだけ。それもいつもと変わらない日常で締めくくり、“いつものように”“それでも私は”というのが、胸をしめつける。
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高校からの親友のお父さんが、認知症になった。彼女はずいぶん年の離れた兄がいるため、うちの両親よりはるかに年長のご両親だ。
私は高校のときに彼女の家でごはんを食べたり、泊まったりで自分の家のように過ごしていた。だから彼女のお父さんもお母さんも、私にとってはとても大切な人である。2年前、私が交通事故に遭ったときも彼女のお母さんは“できることがあったら、なんでも力になってあげなさい”と娘である私の親友に言っていたらしい。それを聞いて、涙をこぼしたこともある。
親友のお父さんは、小学校の校長先生をしていた。実直で口数が少なく、いつも庭いじりをしていた記憶がある。そのお父さんがある日、自分の家に帰れなくなってしまったのだという。お母さんのほうはその現実に愕然としてしまい、ずいぶんやせてしまったらしい。しかもひょんなことから腰まで痛めてしまい、そこから入院生活もはじまってしまった。お父さんは昔の人のせいか、自炊ができないらしく、そこからショートステイの生活になってしまうのだ。
今年のシルバーウィークは、そんな彼女の話を聞くことが多かった。私が知っている限りの介護の知識を伝え、家やサービス、費用のことなどを話した。今度は私が、彼女や彼女のご両親の力になる番だ。