祖父の生家あたりで行われている〈修正鬼会〉 |
それは結局神仏への信仰とは別のもので、自分に関わる人々に対する〈愛情〉なんだろう。まるで映画『水の声を聞く』の描いたテーマのようだが、自分たちのルーツを知ることで、人への〈愛情〉や〈思いやり〉が甦るような気もしている。
NHK『ファミリー・ヒストリー』もそうだろう。自分たちと接点のない第三者の家族のルーツの話だが、単にドキュメンタリーとしておもしろい。またあの番組を見て自分たちの家族や先祖を重ね合わせ、涙する人も多い。さらに番組の影響からか、ルーツだけでなく自分と関わる人への繋がりを、見直す人も増えているのだという。
昨年の正月、国東半島にある祖父母の家に行った。20年ぶり以上だろう。もう祖父母の家もないし、そこは他人の土地になっている。しかも上京している私にとっては、年に一度程度大分市内へ帰るのもやっとだ。そんな私だから、祖父母の家のあった場所など、一生行くことがなくてもおかしくはない。それが昨年に限って家族全員が正月に揃い、しかも母のルーツである場所へ行くという非常に珍しいことが起きた。またほかにもさまざまな理由があり、私は国東半島のことを考える時間が格段に増えた。それは私にとって、非常に愛すべく幸せな時間であったことは間違いない。正月の訪問は、これらの兆しだったのかもしれない。
また祖父の生家の近くにある天念寺という寺では、1200年前より〈修正鬼会〉という祭礼が行われている。〈修正鬼会〉は、国家安泰や無病息災、万民快楽を祈願する。そして先祖をお迎えしながら、ともに祈るのだ、ちなみに〈修正鬼会〉は、毎年旧暦の正月5日に開催。偶然にも昨年は私の生まれた日、2月6日に行われたようだ。こんな偶然は、もうしばらくはない。私が生きているうちは、巡ってこないかもしれない。
実はこの偶然を最近になって知り、非常に驚いた。これはご先祖さまが私に“2014年から新しく生まれ変わりなさい!” というメッセージなのか。それとも“2014年から生まれ変わったように、あなたの人生は変わるよ”というメッセージなのか。それとも“2014年から生まれ変わって、この地のことを考えなさい!”といメッセージなのか。何なのかはわからないが、昨年の偶然を厳粛に、そしてありがたく甘受したい。
しかし旧暦はいいなあ。自然の流れにまかせるせいか、年のはじめが読めない。また旧暦だから、月の満ち欠けに大いに関係がある。女性の身体には、合うのかもしれない。