担当医と話す。 |
父が「俺の主治医のサブをしている女医さんが、○○医院の非常勤をやっているので、
行ったらどうか?」という。
父の病状も訊きたかったので、行くことにした。
女医さんは20代。非常に元気で、彼女の声は廊下まで響く。
診療室に入ると、娘さんなのですね…という。
私は肺のレントゲンを2枚とったが、何の異常もなかった。
原因は不明だが、おそらく実家の愛犬・ルルの毛でアレルギーになっている
のだろう。
それでアレルギーを抑える薬だけもらうことにした。
その後、父の病状をきくと、私は主治医ではないので精神的な部分で
お手伝いできれば、という。
彼女の立場からはそうすることしかできないのだろうが、
どこか病院の会社体質のようなものが見えかくれしていて、
私はいささか嫌悪感を感じた。
それは彼女に限らず、病院というのはそのようなところなのだろう。
彼女は主治医の先生から何も聞いていませんか?
と訊ねてきた。少しは聞いておりますが…と話すと、肺ガンという病気の
ことを話しはじめた。
初期段階であれば手術や放射線など、外科治療になるのだという。
がしかし、父の場合は内科で抗ガン剤治療だ。
しかも一度目の治療はあまり効果がなかった。
そういうタイプの場合、二度目の治療で効果があらわれる可能性は、
極めて低いのだという。
だが、絶望することもない、という。
話を聞いても、このときはまだ冷静だったように思える。
父は強いと自分に言い聞かせていた。
この日から、私は実家の裏の神社に毎日行き、父の回復を祈り続けた。