70年代後期の筒美京平氏の作品。 |
■このアルバムは見事に〈Another Star〉しか聴いていない…。
父といえば夏の忘れられない思い出がある。私の地元では“城島ジャズイン”というジャズのフェスティバルが毎年行われていた(81年に廃止)。テレビ局をやっている伯父の会社が主催/共催をしていたせいか、このフェスティバルは生中継で放映されていたのだ。私はまだ幼かったため、これがどんなフェスティバルなのかわからなかったが、当時は朝方までテレビ番組を放送することなどほとんどなかったため、これはすごいのだろうと思っていた。今、思うと日本の有名なジャズメンはほとんど参加しているし、世界屈指のアーティストたちも参加していたようだ。なぜ70年代の別府に敏腕ジャズメンが集結していたのか定かではないが、観客も日本全国のジャズフリークが集まってきていた。あのタモリさんも司会を務めていたことがあるらしい。
私はこのフェスティバルの初期は、私も実際に会場で観たことがあるのだという(母親談)。残念ながら小さすぎて全く覚えてはいない。ただ父はこの番組をひたすら観ていたことだけは、記憶に残っている。
#
つい先頃、筒美京平氏のトリビュートアルバムがリリースされたようだが、収録されている曲があまりにもメジャーなものばかりで驚く。個人的にはもう少しヒネリがほしいのだが…。まあメジャーなレコード会社がやることだから、これが精一杯というところなのかもしれない。
私は70年代の初期の歌謡曲はあまり記憶になく、後追いで知った曲も多い。しかし後半になると、リアルタイムで知っている曲も多いように思う。幸いなことに、70年代の後半は希代の名曲が目白押しで、ここをリアルタイムで味わえたことにこころから感謝している。もう少し大人だったらさぞ幸せだったと思うが、文句は言えない。
youtubeに筒美京平氏の70年代後期の作品集が上げられていたので、それを観る。〈飛んでイスタンブール〉はいろんな人が歌っているのは観たことがあるのだが、実は庄野真代さん本人が歌っているのを観るのは、これが初めて(!)。夜のヒットスタジオを見せてもらえる年齢ではなかったしなあ。けれど、こうして観れたことがとてもうれしい。この曲はムード歌謡でもないのに、イントロがレキントギターで始まるところが今思うと新しい。ただイスタンブールの歌なのに、レキントギターはないだろう!とも思うけど(苦笑)。こういったところも日本の歌謡曲らしくていい。
また大橋純子さんの〈たそがれマイラブ〉は、出だしのメロディラインがいきなり下がっていくところがスゴイ。こういった細かいところに反則技を入れて、斬新さを出していたんだなあ。それもうまくやっているので、ナチュラルで雰囲気がある。大橋さんの歌も抜群にうまいし。
小さい頃観ていた大人は、本当にかっこよかった。今観ても、本当にかっこよかったと思う(残念ながら70年代まで…)。大人がかっこいい社会というのは、子どもに希望と憧れを与える。今の日本は子どもたちにとって、どう映っているのだろうか。