人間の愚かさや悲哀。 |
私も彼同様、NEW WAVEからインダストリアル、そしてハウスへ流れたクチだ。黒人音楽は高校生の頃、全く勉強しないで基本的なものばかり聴いていただけ。しっかり聴きはじめるのはむしろWAVEに入ってからだと思う。ケンイシイさんは彼と同じ職場だったはずだが、私のなかでMOODMANさんとケンイシイさんは全く違う人種のように見えていた。いわば晶文社と集英社、P-VINEとAVEXくらい違うものだ、と(笑)。
PUNK〜NEW WAVEを聴いてインディーズに傾倒していたせいか、10代の頃から私はメジャーなものに対する憧れがほとんどない。今はずいぶんそういったものにも目がいくようになったが、それでもメジャーなものよりアンダーグランドなもののほうに惹かれてしまう。また、女の子はよく歌手になりたいだの、モデルに憧れるなどというが、私はどちらかというとプロデューサーや映画監督のほうが興味があった。表立って人の言いなりになっているより、裏方で糸を引っぱっているほうが圧倒的にかっこいいと感じていたのだ。しかも知る人ぞ、知るがとても好き(笑)。ほくそ笑むことって、なぜあんなに楽しいのだろう。
そんな人間だからか、MOODMANさんのプライベートプレスの話にも非常に共感できる。創っている側の〈心意気〉とほくそ笑む〈楽しみ〉が一体になっている。ペルーのサイケなんて、未知の部分だからかなりそそられるし(笑)。売れようとして魂を売っていた、などという話も、どこの世界にもある話。人間の愚かさや悲哀も、どこか好きなんだよなあ。