常識を覆す。 |
松下の開発部の方はこの商品のサンプルを、段ボールに入れてもってきた。陶器ではないから、割れない。段ボールで十分なのである。しかも使われている樹脂は、水族館の水槽と同じものを使っているため、堅牢で耐久性がある。〈全自動トイレ〉という売り文句より、はるかにこちらのほうが驚かされてしまった。
私はメーカーの開発部の方と話をするのが大好きだ。仕事を選ぶというわけではないけれど、ゲーノー人のインタビューより、こういう仕事のほうがインパクトを受けることが多い。私は無名のクリエイターに非常に興味がある。
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昨日、入院中にいっしょだった中国人の女の子からメールが入った。10月になって東京へ戻ってきたらしい。“ランチでもしない?”と言われ、今日は我が家から電車で10分ほどの二子玉川でランチをしてきた。足にケガをしていたからと、彼女ならではのこころ遣いだろう。それがとてもうれしく感じられた。
中国から戻ってまもないせいか、彼女は東京で中華料理を食べることにためらうらしい。本国に比べると、5〜10倍の値段。ためらっても当然だ。私も実家へ帰ったすぐ後に東京のスーパーへ行くと、買い物するのに抵抗を覚える。それと同じことのようだ。
彼女は腕を骨折していたが、ずいぶんよくなっていた。入院していた頃は字を書くのも厳しく、パソコンは打てない状態だったが、今はどちらもできるようだ。それから彼女に、現在の中国のことをたずねた。北京は古き良き中国の薫りはするようだが、やはり空気が悪いと言っていた。彼女は中国に行くなら〈大連〉がいいと言う。ロシアが近いせいか洗練されており、ビーチも近い。広々と敷地を使っているため、居心地も極めていいらしい。彼女は大手不動産会社に務めているせいか、居心地を重視する。それも直感で。そういうところは、私ととてもよく似ている。
彼女は中国で生まれ育っているせいか、日本におけるいわゆるブームということに惑わされることが少ない。日本人の20代、30代が考えていることはおおよそ予測がつくのだが、それが全く通用しない(笑)。そこがとても魅力的に映る。自分というものをしっかり持っているせいか、話もユニークだ。彼女に限らず海外の人とつきあうと、日本という狭いコミュニティにいることを実感できる。それがとても楽しい。こちらの常識を覆すような環境に身をおくことは、自分を客観的に見る上でもとても大切なことのように思う。
その後、二子玉の高島屋のスタバでお茶をする。ここのスタバはソファーでゆっくりと座れ、展望もよい。しばらくおしゃべりをしたあと、彼女は再び仕事へ向かった。