容姿端麗な男が凶悪犯。 |
今、この映画をつくったら、本気でこの主人公と同じことを考える人間が出てきそうである。当時は世の中にしっかりとした倫理観があったからこそ、こういった奇想天外なストーリーも成立したんだと思う。脅迫犯の要望がナイター中継の延長だったり(笑)、ストーンズの日本公演だったり(笑)、当時はまだ核保有国が8カ国しかなかったので、主人公が自らのことを9番(9番目の核保有者)と呼ぶところもなかなか洒落ている。エンターテイメントに夢を感じさせてくれた、いい時代の作品である。
沢田さんは3億円強奪の犯人を演じた『悪魔のようなあいつ』もそうだが、凶悪犯を演じると絵になる。容姿端麗な男が凶悪犯というのは、観ていても非常におもしろいものだ。久々にユニークな映画を観て、非常に満足した。この映画は、もっと評価されていいと思う。