抜釘とは? |
手術前、主治医は注意事項を私に説明してくれた。「手術中に骨折する可能性があったり、無理に抜くことで骨に損傷を与える可能性がある場合があります。その場合は抜釘を取りやめます」と。無理に抜くことで骨に損傷を与えるのはわかるが、手術中に骨折というのはどういうことなのか?と思ったのだが、これも木の板と釘の関係と同じだということがわかった。たとえば、木工の苦手な人が釘を抜くと、木が割れてしまうことがある。いわばそれと同じで抜釘のヘタな医師が行うと、釘を抜くときに骨が割れてしまう=骨折してしまうということなのだろう。主治医がよく“私は大工か?”と言っていたが、これほど整形外科医と大工が似ているとは思わなかった。腕のいい整形外科医は大工に、大工は整形外科医になれるかも(笑)などと感じることも多い。
こういうことを考えていたせいか、夜は木を組み合わせて椅子をつくる夢を観た。夢のなかの私はとても木工がヘタで、釘を打ちつけるたびに木にヒビを入れていく。骨折のトラウマか(笑)?これを話すと主治医は、「相変わらず想像力が豊かですねえ」と笑った。主治医に技術の時間は得意だった?と訊ねると、椅子づくりはやっていたけど得意だとも不得意だとも言えない感じだったという。思いもよらないことが、仕事になったりするものだ。彼女も整形外科医がこれほど大工仕事に似ているとは、思っていなかったに違いない。