僕がアイデアを出すわけではない。 |
そしてごく当たり前のように、テレサ・テンさんも登場する。幻を見たかと思った(笑)。
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nsw2072さんのブログに、こんなくだりがあった。
「その一方に私を含めてそんなことを何もしないという奴らもいる。タバコも止めないし、酒も止めない。その挙げ句の果てに検診には行かないし、行ったとしてもその結果を聞きに行かない。何でだと聞くとそんなの知ったら怖くて生きて行かれないという。これを聞いた人は殆ど呆れた顔をする」
まるでうちの父のようだ(笑)。父は晩年、いつもこういう言動を見せていた。悪い結果を聞きたくないがため、検診は全くいかない。戦々恐々なのだ。そのわりに母に「俺は大腸ガンかもしれない」などと口走っていたが、母は「私がしっかり食事をつくっているのだから、大腸ガンには絶対ならない。私が保証する」と言っていた。案の定、父は内臓を悪くすることは一度もなかった。
ただ父はヘビースモーカーで、一日3箱たばこを吸っていた。しかも喫煙しながら、酒もかなり飲む。その後、妙な咳をしはじめ、病院に行くと肺ガンだということがわかった。診断を受けたときには、すでに手術もできない状態だったのだ。それから半年、62歳の若さで亡くなってしまう。あっと言う間だった。
nsw2072さんのブログを見ていると、男性というのは父のような人が多いのかもしれない、と思った。怖い結果を聞く前にマメに検診を受け、初期段階で治してしまえばいいのに、と思うのだが、まだまだ大丈夫だと思ってしまうのだろうか。思えば父も「俺だけはガンにかからない」と思っていたようだ。病気ひとつしたことがないから、そう思えていたに違いない。しかし私は、怖い状況を目の当たりにしたので、検査をとてもなおざりにはできない。むしろ検査を受けても、結果を懐疑的に捉えてしまうかもしれない(笑)。
nsw2072さん、検診はマメに行ったほうがいいですよ。後悔あとにたたず、ですから。
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日本テレビの『宇宙でイチバン逢いたい人』に村治香織さんが登場。彼女の逢いたい人は、アートディレクターの佐藤可士和さんだった。彼のオフィスに行く前に、彼女は彼の手がけた店である〈UT〉と〈可不可〉に立ち寄る。彼のアイデアに触れたいと、彼女は質問を投げかけていた。
「アイデアが枯れる、という恐怖心はないんですか?」すると、佐藤可士和さんは「昔はそういうこともあった。けれど僕がアイデアを出すわけではないんだ、ということに気がついた。僕らはただお客さんの要望をかたちにすればいい」と。思えば優れたクリエーターはみな、こう語る。自分の発想をかたちにしたい、自分のアイデアを活かしたい、ということばをときどき耳にすることがあるが、たいがいモノづくりをはじめて間もない人が多い。基礎的なスキルも持たず、稚拙な言い分ばかりが先走っている印象だ。
デザインというのは、根本的に〈引きの美学〉だと思っている。足せば足すだけ〈魅せたい〉ものが薄れていくわけで、そこにエゴが入ってくればくるほど、本質からは離れていく。デザインとは客観性だということが理解できず、エゴを何がなんでも介入させたいというのであれば、画家になるしかない。しかしながらそういう人に限って、画家になれるほどのエゴの強さも持ち合わせていない。
お客様やユーザーの姿がたくさん浮かぶ人ほど、優れたデザイナーなのだと思う。ユーザーが喜べば、お客様が喜ぶ。つまりはそこを考えればいいのだ。