石原慎太郎著『これが恋愛だ』。 |
*加藤芳郎さんの表紙(化粧箱入り)もなかなか素敵。かつてのAPPLEのマークみたい!
都知事にとっては汚点とさえ思えている本なのではないだろうか?という私の期待(笑)に反して、なかなかイイ本のようだ。彼がこの本を描いたのは20代だと思われるが、素敵な恋愛観を持っていて、好印象を持った。
「恋愛が具体的に成立するためには、どうしてもあるデモンストレーションが必要であります。…そのデモンストレーションは、なにもスマートに、気のきいた形でやろうと思うことはない。必要なことは意思を示すことであります。事実としての提示です」などと書いてある(笑)。確かに。そして「つまり、羞恥と言うことに対して、ある程度の強引さがなければ絶対に駄目。この強引さこそ恋愛の秘訣と言えましょう。ともかく、最初の一歩は思い切って出なくてはならない」ほうほう〜。
性に関しても「性は楽しい。性は耽溺すべきものです。それが本当なのだ。耽溺しなくては性愛の楽しさは分からない。そして、それは恋愛にとって今までと顕らかに違った次元を生むのだ」と語る一方で、「一度、肉体的に結ばれ合った相手だと、離れていても今まで程不安な寂しさを感じなくなるものです。これを裏返しに考えて見ると、肉体の交渉と言うものは、実に、心理を充足して止まないものなのだ。そうやって、恋愛の中核の心理が性によって消されてしまうところからすれば、恋愛を完成すると同時に壊すものには違いない」と書いている。
…うーん、非常に納得できることば。要するに性は諸刃の剣ということだな、と。結ばれ合い、恋人や夫婦となって完成形となるも、充足してしまうことで壊れていくことも当然あり得る。都知事がおっしゃるとおり、意外と脆いものだと私は思っている。
というように、楽しさいっぱいの都知事の本!読破したら改めて、ここに感想を書きたいと思う。
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また違う古本屋で、今の私にぴったりの本を見つけた。雑誌『POPEYE』(84年)で、表紙が沢田研二さんのスタイリストであった、早川タケジさん。彼がジュリーのスタイリングについて語っている。80年代にはほとんど興味が持てない私だが、このページを見たくなってついつい買ってしまった。こちらは500円也。
*『POPEYE』の表紙には、早川さんの〈ジュリーの衣裳の原画〉がたくさん並べられている
ヒット曲〈TOKIO〉の頃はゴム製の絶縁ジャンプスーツに身を包み、電気系統のエンジニアが常に2名同行していたらしい(笑)。しかも製作費だけで当時400万円かかっていたというから驚きだ。重量も60kgあったというから、大人ひとりを背負いながら歌っていたようなものである。かなり大がかりだったんだな…。
…と、最近は古本に夢中の毎日である。一期一会を満喫できる古本は素敵だ。新刊には決して味わえない魅力がある。