加藤雄一郎ライブ@横浜MOTION BLUE |
時間があまりすぎた、予定と異なるVTRが流れた、などトラブル時にどのように対処するか、どう乗り切るかを瞬時に考え、進めていく。そこに私は彼らの力量をみる。
決して原稿通りに読めることではない。原稿通りに読めるというのは、もはや当たり前なのだろう。お笑い芸人が打ち合わせ通りにコントをやっても、それほど笑いはとれない。笑いがとれるのは、むしろフリートークである。これもアナウンサーと同じで、アドリブが効いてはじめて“プロフェッショナル”だといえるのだと思う。
今日は、MOTION BLUEに行った。何年ぶりだろう。できた当初に行ったが、個人的によい思い出がない(極めて個人的な話。MOTION BLUEさんには何の非もない)ため、足を運ぶのを避けていたような気がする。
今日行われたのは、加藤雄一郎さんのライブである。加藤さんのライブの前には、calmさんがDJをするとのこと。彼らのライブやDJを堪能するのは、4ヵ月ぶりくらいだ。本当に久々だから、苦い思い出のあるMOTION BLUEにも顔を出そうと決めていた。
今日のcalmさんは、MOODMANさん風の帽子をかぶっていた。全身黒っぽい服装。珍しいなあ、と思った。彼が1曲目にプレイしたのは、アーサ・ライマンの“川のながれのように”風の曲(あれはなんという曲なのだろう…)。その後、アフリカ音楽やブラジル音楽など、第3世界の音楽をつないでいく。
一方、ステージでは加藤雄一郎さんが、ご自身のmacをたちあげ、Logicをセットアップしていた。「万全ですか?」と話し掛けると、自分で制御するのは2回目なんです、と答えてくれた。演奏しながら、データを制御するのは神経も遣い大変だろうな、と思った。
しばらくするとcalmさんが、ステージ上にいる加藤さんと、キーボードの柴田さんにサインを送っていた。そろそろライブに入ってくれ、ということなのだろう。
演奏に入って2曲目だっただろうか。加藤さんのLogicが稼動しないようだった。ステージ上に、急遽calmさんが現れ、加藤さんに「大丈夫か?」と話しかけている。彼は、macを再起動し、Logicをしばらくいじったあとで、ステージ後方部のスタッフにOKのサインを出した。おお、さすが機材に強いと言われるcalmさんだけあって、トラブルに強いなと思った。
この間柴田さんは、アドリブでピアノを弾き続け、場をつないでいた。生演奏は生放送と何ら変わらない。MAがトラブルを解決し、アナウンサーが場をつなぐ。これとcalmさん、柴田さんの対処は同じだ。ここにプロの真の姿を見る。生はここがいいのだ。
ただ演奏するほうは、そうは思わないらしい。かつて近しい人が音楽をやっていたのだが、ミスタッチや制御ミスがあると、今日はよくなかったとつぶやいていた。ところが観客は、“今日はそういうアレンジなのだろう”“今日はそういう編成なのだろう”としか思わない(笑)。キックやクラーベのデータが飛んでしまったのであれば、むしろなくていいと思う。知らん顔をして、そういうライブなのね、と思わせておけばいい。観客はリハなんて見ていないのだから。
まあ、そんなことはさておき、今日は加藤さんやcalmさん、柴田さんのコンビネーションの良さを感じさせるライブだった。プロの土壇場の強さを見せつけられたね!