二つとも、紛れもなく私の姿である。 |
彼のことを知ったのは、『屋根の上のバイオリン弾き』からである。作品を観たことはないが、子どもの頃ひたすらそのCMが流れていたのが忘れられない。
また彼は向田邦子さんを脚本家として起用したことでも、よく知られている。今は向田さんといっしょに、酒を酌み交わしているのかもしれない。
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編集の仕事というのは、基本的に仕切り屋である。コンセプトを伝えてそれに合うように、スタッフを指揮していく。あるいはそれがコンセプトからずれていたり、完成度が低ければダメ出しをする。あるいは進行が滞らないよう、スタッフのお尻を叩く。
…などなど、終了するまで仕切っていくのが仕事である。
いっしょに仕事をするスタッフは、私のプライベートのことは一切知らない。逆にプライベートで仲のいい人たちは、私が仕事をしている姿を一度も見たことがない。つまりその両方の姿を知っている人は、ほとんどいないのである。
私は仕事では仕切り屋さんにならざるを得ないし、自分なりにはやっているつもりだ。ただ、ふだんはとてもぼんやりした人間。いや、ぼんやりするのが好きなんだと思う(笑)。二つとも、紛れもなく私の姿である。自分のことながら、人はいろんな面があってもいいんじゃないかと思っている。