三つ子の魂百まで。 |
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Twitterにも書いたが、サンレコに載っていた〈Melodyne Editor〉がすごい。人間のクリエイティヴ能力より、テクノロジーが上回っていく。そしてついにこんなところまで…というソフトである。ベートーベンの交響曲第5番の〈運命〉が、このソフトをつかえば簡単にアレンジを施すことができるようだ。和音はもちろん、倍音だけの抽出も可能らしい。ストリート・ノイズの音も、音階としてアサインできるよう。エレクトロニカのような音楽もこれさえ使えば、簡単につくれそう。それが妙に恐ろしい…。
もう頭をひねりながら、音楽をつくることはなくなるのだろうか。「アレンジャー?費用がないから、〈Melodyne Editor〉を使ってなんとかできない?」なんて言われるようになってしまうのか。まずはこちらのWAVデータをダウンロードして聴いてみてください。
そんなことを思いながら、改めて世界名作劇場の音楽を聴いている。すごいなあ…この豊かなアレンジ。ダイナミズム。素晴らしい表現力である。これぞ音楽だよな…。小学生の時、世界名作劇場は欠かさず観ていたが、数年間も毎週のようにこの素晴らしい楽曲を聴いていたわけである。なんてぜいたくな小学生だったのだろう…と今になってつくづく思う。
マンボ風だったり、カントリー/ブルーグラス風だったり。ごく当たり前のように世界音楽を聴いていたみたいだ。今の子どもはバンジョーの音を知っているのだろうか。HIP HOPを聴いてアメリカを浮かべる子どもはかなり多いと思うが、バンジョーを聴いてアメリカを浮かべる子どもはいないと思う。今の日本の文化は産業主義に踊らされていて、かなり歪んでいるのではないか。
私が小学生の時にはこれらの世界名作劇場の音楽を聴き、筒美京平さんのつくった岩崎宏美さんのディスコ歌謡を耳にしていた。父はセルジオ・メンデスやバート・バカラックをステレオで大音量で聴いていたし、さらに運動会の時のおゆうぎの際にはクインシー・ジョーンズの〈ai no corrida〉で踊っていたわけである。今思うと、完全に今の私ができ上がってしまう土壌があった(笑)。
朝礼の時間には、ペルー民謡の〈クイカイマニマニ〉やオランダ民謡の〈サラス・ポンダ〉を歌わされた。さらに音楽の授業の鑑賞の時間には、聴こえてくる楽器を書き出す課題もある。ここで私がやっていることと全く同じだ(笑)。これは私が通っていた大分市の城南小学校だけではないと思う。この頃の小学生は、みなこんな感じだったのではないだろうか。
教育の与える影響というのは、すごい。三つ子の魂百までである。裏を返すと教育で人間の感性や思想、ひいては個性まで形成されていくのわけだ。うーん。ともかくお子さんのいる方々に何か贈るとしたら、世界名作劇場のアルバムでも買うか。