久世光彦スペシャル |
『寺内貫太郎一家』の第1回と最終回を放映しながら、出演していた小林亜星さんと
樹木希林さんが亡き久世さんを忍ぶ番組である。
私は『寺内貫太郎一家』を観たような気がするが、幼すぎて内容を全く理解できなかったように思う。これ以降の『ムー』や『ムー一族』あたりは同級生たちは観ていたようだったが、9時に寝なきゃならなかった我が家では、これを観ることは許されなかった。今となっては大変悔やまれる。
『寺内貫太郎一家』のオープニング曲は、大野克夫。これにはびっくり。音楽に合わせて出てくる線画の似顔絵は、なんと横尾忠則。なんてセンスがよいのだろう!
キャストの設定も素晴らしい。貫太郎を支える賢い妻に、加藤治子。彼女のもつ雰囲気は、凛としていて大変魅力的だ。また足の悪い娘に、梶芽以子。しかも彼女の通称はなんと“しーちゃん”!しーちゃんという女の子には、コンプレックスを持たせたキャラクター。それが久世流である。哀しさと美しさが同居する女性は、どことなく艶かしいのだろう。そして彼の記憶の奥底に眠る、憧れの女性でもあるに違いない。
寺内貫太郎は、頑固だが人情味豊かな男である。外見は違うが、うちの父を彷佛とさせる。父は彼のように亭主関白だったから…。また姉と弟の兄弟、そして息子が父の仕事を継ぐというストーリーもなんだか、私の家と同じ。観ているうちに切ない気持ちになった。
番組のなかに音楽を入れたり、設定を観客に伝えるためにト書きが流れたり…。
こういうところには、久世さんのエンターテイメント性が出てくる。
…いいなあ。『寺内貫太郎一家』。
DVDでも買おうかしら。