先読み力@R25 |
整形外科医は手術が終わると興味がなくなる、という話を聞いたことがある。どう手術をするのかを考えるのが、彼らの興味の対象だというのだ。客観的に考えてもそんなものだろうな、と思う。ましてや他人がやった手術の患者など、全く興味がないのだろう。それを百も承知でリハビリを受診するのだから、これくらいのことは仕方がないのかもしれない。
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R25の〈先読み力〉についての特集を読む。中井広恵棋士の大局観に、大いに共感する。私も以前、大局観について書いたことがあったが、まさに私の言いたいことそのものが書いてあった。
「将棋は理詰めと思われがちですが、センスや感覚も重要です…(中略)。その感覚は積み重ねによって自然と培われてきたものだと思っています…(中略)。将棋は実践で肌で覚えるものなんです」
この肌で覚えるということが、私はとても好きだ。だからこそ、経験が感覚的になってしまう。私は仕事を感覚的にやっている人間だと思う。ほかの人からは理詰めと思われているかもしれないが、説明するにはことばが必要だからにすぎない。むしろ仕事を感覚的に進められないとシンドイと感じるほうだ。
「あとは出産、子育ての経験も大きいですね。日々、個性のまったく違う3人の子どもと格闘していると、型にはまってはいけないんだな、と実感しまう。それだけでなく、旅行、スポーツ…あらゆる経験が、大局観のベースになっているのです」
このことばにも大いに共感。特に乳児や幼児には理屈が通じない。理詰めの人間には、子育てはできないかもしれない。子どもと接すると常に“そうきたか!”と思わせられる。ときに笑い、ときに腹立たしくもなるのだが(笑)、子どもと接するといろんな意味で学ぶことが多いように思う。