雑誌『Extime』70年代ヒットパレード大特集。 |
古本というのに70年代の雑誌は、漲っているんだよなあ(笑)。置いているだけでエネルギーをもらえそうな雰囲気。文章も強力なものが多く、見出しでもないのにすぐ目に留まる(笑)。あの勢いに惹かれて、私は収集を続けている。
70年代は人それぞれ個性が立っていて、温かい。ユニークな思想を持っている人が多いわりに、今見るとびっくりするくらい純情。そのどちらも平成の今にはないものなので、惹かれてやまない。
#
そんな70年代好きな私に、目に留まった雑誌があった。『Extime』。発刊記念号の70年代ヒットパレード大特集。リアルタイムの70年代雑誌には及ばないが、なかなかおもしろかった。寺山修司さんが語る〈明日のジョー〉、walkmanの進化、70年代のテレビガイド…などなど、惹かれる内容も多い。細かく見ていくとさらにおもしろいことが書いてある。〈異邦人〉をヒットさせた久保田早紀さんが、中央線の朝の風景(!)を見てあの歌詞を書いたこと。ただ、彼女はアマリア・ロドリゲスが好きだったようで、その影響であの曲が生まれたのかもしれないという。やはりセンスがいいんだなあ。そうでなくては、あのような名曲は書けないだろう。
また、サザンオールスターズのびっくりするエピソードも。当時、ビクターのディレクターが彼らと契約しようと目論んでいたところ、桑田圭祐さんが「ほかのレコード会社と契約しちゃった」と言ったのだという。そのディレクターは驚いて、契約したレコード会社を訪ね「僕らがデビューさせようと考えていたので、彼らのことはごめんなさい」というと、「わかりました」といって納得してくれたとのこと。それで済んでしまうなんて一体…。つくづく平和な時代だな、と思う。しかし今思うと、ドル箱であるサザンオールズタースをそんなかたちで手放してしまって、そのレコード会社もいろいろと思うことがあったのではないだろうか。
そのほかにも大好きな阿久悠さん、山口百恵さん、松本隆さん、今のクラブのルーツでもありうる飯倉の〈キャンティ〉のことなども掲載されている。おもしろい。