映画『moog』を観て。 |
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今更ながら、映画『moog』を観た。なんて素晴らしいドキュメントなのだろう!アナログシンセが大好きな私は、最初から最後までただただ興奮していた。モーグ博士の最初の一言である“アイデアはただそこにある。探求と観察の間に。”には、いたく感動!あなたはまさに、そうして生きてこられたのだから。
リック・ウェイクマンが初めてミニモーグを買ったときの話。ある役者がミニモーグが壊れているので彼に譲ってもいいという話になった。実際見たところ、袋につつまれた状態でいじった様子もない。これは新品で非常に状態がいい、と彼は思ったのだが、一応“壊れてはいないと伝えておいたほうがいいな”と感じ、その役者に伝えると「壊れているよ!だって一音しか出ないもの。」と言う(爆笑)!「モノフォニックといって、一音しか出ない楽器なんだ。」と彼は説明すると、「そんなものいらない」と言われ、結局半額で譲ってもらうことに。その2年後、彼はミニモーグを8台購入する。そんなリック・ウェイクマンにモーグ博士は「なんだ君も一音じゃダメなんじゃないか!」とツッコむ。さすが冴えているなあ、モーグ博士(笑)。
またリック・ウェイクマンは、「ミニモーグは無駄な機能がひとつもない。全部使い倒せる素晴らしい楽器だ。」と言い、「最近のシンセは1割使うだけで、残りの9割は使わない。まるで奥さんだ。」と笑う。「こんなことを言ってるから、俺は何度も結婚したんだ。」と自分にツッコむ。いや〜あなたたち、関西人か(笑)。おもしろすぎるぞ。
それにしてもすべての機能を使え、無駄がなく、自由度が高いなんて、まるでミニモーグは身体のようだ。
彼らの側にはバーニー・ウォレルもいた。彼は「ミニモーグはセックスだ。」と言う。あれ?そのことば誰かも言っていたな。あ…私か(笑)。彼はノブの触れ方でセックスだと説明するが、私はエンベロープ(音の減衰)にそれを感じていた。いずれにしろ、ミニモーグはセックスを想起させる楽器なんだろう。だから世界中の人に長く愛されるのかもしれない。
リック・ウェイクマンは「モーグ博士が我々に与えた楽器は、不確定要素の産物だ。生まれた理由を語っても無駄。感謝するのみ。」と話す。彼がいかにモーグ博士をリスペクトしているかがわかることばだ。
余談だが、この映画にはモーグ博士が〈太鼓の達人〉で遊んでいる映像もついている。すごくカワイイ。