蒼い飛沫が華麗に跳ねる。 |
そこのスタッフは仲良くさせていただいているスタッフのかつての同僚のようで、話がはずんだ。思わぬつながりができたのもうれしかった。目的のものを購入すると、最上階へ行く。BEAMSギャラリーがあったので、そこで作品を観る。岡信昭さんという画家とニック岡井さんのコラボレート作品だった。
岡信昭さんは〈音楽とアートの融合〉をやりたい、と常に考えていたようだ。それで一つの案を思いつく。フットペインティングというものができないだろうか、と。それで彼は一人のダンサーが浮かんだ。ニック岡井氏。彼は〈かわいい人よ〉をはじめとする、日本のソウルステップの第一人者だった。彼の靴にインクを浸し、白い紙の上で彼が舞う。蒼い飛沫が華麗に跳ねる様が、とても美しい。
枯れの足下の蒼は、日本にはない色。青のなかでも最も好きな蒼だった。作品のコンセプトや描画も好みだが、色の魅力も負けじと劣らない。とても惹かれた作品だった。
ギャラリーの脇には、陶器が並べてあった。スタッフに訊ねるとどうやら日田の小鹿田焼らしい。BEAMSには何かと縁があるな、と思っていたが、こんなところでもつながっているとは思わなかった(笑)。個人的には小鹿田焼より益子焼に興味がある。というのも、やはり濱田庄司さんに惹かれてやまないからだろう。彼の作品を見てから陶器に関してはあれが基準になっているので、とても苦しい(笑)。彼ほどの作品に巡り合うはずがないのに。
ここのスタッフも先日、小鹿田焼を見に日田まで足を運んだらしい。あまりにも田舎でびっくりした、と言っていたようだ。そりゃ日本一の乗客を誇る駅である新宿と山に囲まれた町日田じゃ、環境が違いすぎる。びっくりするのも仕方があるまい。東京の人間に言わせると、地方の高速道路がとにかく怖いらしい。真っ暗闇の山道をある程度の速度で走るのが、苦手なのだという。東京の速度よりずいぶん遅いんだがなあ。