実家へ帰る。 |
母は、父に着せるための着物を取りに帰った。
しばらくすると看護士がやってきて、遺体を拭くからと言う。
私たち三人はそれを待つため、病室を出る。
父を遺体安置所に運ぶ。
気がつくと、葬儀屋の人間が待っていた。
父をどこに運びますか?と訊ねられたので、迷わず実家へと伝えた。
こんなかたちで、家に帰るのは忍びないけれど。
葬儀屋の人間から、お通夜と告別式のあらすじを聞かされる。
深夜25:00。
本日の夕方から、お通夜の準備となる。
昼過ぎに父のからだを入れるお棺が届く。
父の姿を見ると、愛犬のルルが父の冷たい額を舐めはじめた。
お棺に入れてからも、爪をたてて父の姿をのぞこうとする。
その姿に、涙が溢れ出す。
もう父は、おまえをなでてはくれないんだよ。