掛け値なしの男たち。 |
家族のことをいうのもなんだが、うちの父は本当に正義感の強く、小賢しい計算からはほど遠い人だった。その一方で冗談もよく言う。私はそういう父が大好きだった。大分出身者のひとりに筑紫哲也さんがいるが、彼もそういうタイプだったと思う。彼を観ていると典型的な大分県人のように感じる。
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年末は、紅白歌合戦が待っている。個人的には半田健人くんが審査員として出場してほしいな、と思う。歌謡曲が好きな彼だから、ぜひとも登場してほしいのだ。実現するといいのだが、難しいのだろうか。
半田健人さんというと、最近youtubeでこちらの映像を観た。この映像のなかで森田公一さんを久々に拝見する。本当に驚いた。!0代の頃の彼を観たっきりだったせいか、急におぼつかない感じに見えてびっくりしてしまったのだ。どうやら、当時のシャキンとしていて爽やかなイメージのまま、30年の年月が過ぎてしまったらしい。
※こちらで、阿久悠さんの右隣にいて微笑んでいるのが森田公一さん。奇しくもこちらで審査に通ったのは、大分出身の水谷絵津子さん。この放送はリアルタイムで観ていたな。
阿久悠さんが掛け値なしで作品をつくっていたのは、想像に難くないところだ。人間だから“儲かったほうがよい”と思っていたとは思うが、それで作風が変わったりお金で作品が揺らぐことなどない人のように感じていた。ある雑誌でも筒美京平さんが「売れることよりも、作品のクオリティを重視する人だった」と語っていた覚えがある。筒美さんは「僕なんか単に売れればいいと思うタイプだけどね(笑)」などと語っていたが、それも彼らしいなと思った。筒美さんはとても洗練されているが、そのあたりがクール。典型的な東京の人間という感じがしていた。彼の曲が今の20代あたりまで受け入れられるのは、そのあたりの感覚まで通じるからではないだろうか。
泥臭いタイプの阿久さんと、クールで洗練された筒美さん。二人は初期の岩崎宏美さんの作品を手がけたあとは、いっしょに組むこともほとんどなくなってしまった。個人的にはタイプの異なる二人の共作は、大好きだったのだけれども。
話をもとに戻そう。半田さんはトップギャランや桜田淳子さんを語っているけれど、“観たんかい!”と時折ツッコミたくなる(笑)。しかしこれほど自信に満ちて当時のことを話すのを観ると、彼の説得もアリに思えてくるから不思議だ。これが彼の芸風なのだと思う。