仲良きことは美しいこと? |
阿久さんは『スター誕生』の審査員のなかでも、苦言を呈することのほうが多かった人だ。それは厳しいことばであったが、こちらを説得させる材料を十分に持ち合わせていた。厳しいことばも素晴らしい歌手を生み出そうとするゆえであることもよくわかる。だからこそ、あの番組に挑む人が後を絶たなかったのだと思う。
思えばあのビートルズも、とても仲が悪かった。昨日の27時間テレビを湧かせていた島田紳介さんやダウンタウン、明石家さんまさんも、あまり仲がよくないと聞く。もちろん彼らも仕事上でいろんな話はするけれど、いっしょに酒を飲んだりはとてもできないと言っていた。切磋琢磨していたり、お互いに競い合う間柄は、それが当たり前なんだと思う。むしろ妙に仲がよかったら気持ち悪いし、どこかに歪みが生じてもおかしくはない。
日本人は、仲がいいことを非常に好む人々だ。だけど必ずしもそれがいいとは思わない。特に仕事においてはそうだ。阿久さんのおっしゃる通りだと思う。
#
邦画ドラマ『僕は2歳』(1962年)を観る。市川崑監督の作品だ。氏の作品だけあって、やはり映像が素晴らしくキレイ。『暮らしの手帖』の世界が全編に広がっている。昭和30年代の団地はこういう感じだったんだろうなあ、と思う。奥様方も非常に上品で、素敵だ。
冒頭は主人公である赤ちゃんの目線から入る。生まれたばかりの赤ん坊は、光を感じるだけだというが、それをきっちり演出しているところがおもしろい。なかなか洒落の効いた内容だと思う。その後はただ単に子育てに奮闘する夫婦の姿が映されているだけ。しかしそれがほのぼのとして、とてもイイのだ。当時のフィルムの質感にも、そのほのぼの感がとても合っているように思う。
本作は育児書が原作だという。子育て奮闘中のご夫婦に観ていただきたい作品だ。
